真・なんでもレビュー
夢の樹が接げたなら |
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出版:ハヤカワ文庫 | 著:森岡浩之 | 定価:680円+税 |
「星界の紋章」や「星界の戦旗」の作者のSF短編集。 私は森岡氏について、先述の星界シリーズの影響か、「若い世代に受けるスペースオペラを書く人」というイメージがありました。 この短編集をいざ読んでみると、ちゃんとSFしてますね(失礼) 表題作である「夢の樹が接げたなら」とかが特にそうなんですが、出だし部分など海外のSF短編を読んでいるときと似た感覚でした。 しかしながら、私は手放しでこの本をほめることはできません。 暗いんですよ、この本。 八篇入っているのですが、全部暗い。ここまで徹底してハッピーエンドを避けなくてもいいんじゃないかと思うほど。ネタバレ入るかもしれませんが、ここまで来たらハッピーエンドでエエやんって思うようなのもある。 星界シリーズのシリアスと温かみの混じった雰囲気が好きな人には合わないかもしれません。げんに、私の友人で星界シリーズを集めている人には合わなかったようです。 面白くないわけではなく結構面白いんですが、一篇読み終わると気分が沈み、もう一篇読むと更に沈む。まあ初期の短編とかだからしょうがないのかもしれないけど、暗い話しか入ってない短編を「星界シリーズの原点」などと言って売り出すのはどうかと思いますわ。 結論からすると、「SFが好きで、日本人のSF作品も読みたい人は買い」「星界シリーズの雰囲気が好きだったり(あの雰囲気を期待したり)おびにある『星界シリーズの原点』に心が動いた人は逆に様子見」といったところでしょうか。 まあ私みたいに星界も好きだけどこれも面白く読めるって人もいるんですがね(ぉぃ |