真・なんでもレビュー
明日の夜明け | ||
出版:角川スニーカー文庫 | 著:時無ゆたか | 定価:560円 |
「第六回角川スニーカー大賞」で優秀賞を取った作品。 デビュー作としてはまあ良く出来ているのではないでしょうか。 学校を舞台としたサスペンスホラーです。今回のレビューはストーリーラインの紹介は控えさせていただき、きびしめに評価のみを書いていきます。 良い点としてはラストの収束のさせかたに好感が持てます。 「ああ、これはこういうふうになって、こういう感じの落ちなんだろうな」とわざと読者に考えさせて、その裏をかく――ように狙ったのだと思いたい。狙ったのだったらこの作家、これからが楽しみです。でも狙ったんじゃなかったら、それはちょっと……です。 さて、お次は欠点。こっちの方が多いです。 まず、キャラが立っていないのが致命的。 登場するキャラの個性が弱く、その設定自体が「ああ、こいつはこういう動きをするんだな」というのがまる解り。それを逆手に取って裏をかきゃいいんですが、それが出来てないのでありきたりなキャラになってます。 この致命的な欠点の更に致命的な点として、主人公とヒロイン。 主人公とその親友がいるんですが、主人公の動きより親友の動きの方が主人公っぽい。つまりメインとサポートに分けるべきキャラなんですが、作中におけるメインキャラ比重が低く、サポートキャラの比重が高いんですね。 そして、ヒロイン。定番の謎めいた転校生と、これまた定番の優しい(言ってみりゃ幼馴染系の)同級生のどっちがメインヒロインだったのかがサッパリ解らん。読み終わっても「で、どっちがメインなん?」って感じ。 転校生の方は「魔女」とか言われてる割にはめっちゃ普通の性格やし、その辺は「作者ちょっとゲームに影響されすぎちゃうか?」と露骨に見えてしまい、冷めます。 んで、色んな人に貸していたりもするんですが、共通意見として「最初の50ページくらいを耐えれるか耐えれないかが問題」ってのがあります。 キャラが立っていないため、感情移入がしにくい。そのくせ視点移動が激しすぎるため、読者が混乱するんです。 だから何が面白いのか解らないまま読むのに疲れるって意見もあり。 ぶっちゃけた話ね…………イラストに助けられまくってます。 純粋に文章だけで勝負するにはまだまだ粗が多すぎます。 私は結構この話好きなんですが、イラストと最後の収束のさせかたがなかったら……ゴミ箱入れてますね。 ほんま、ラストが命の作品だと思います。 フォローをするなれば、キャラの性格とかも結構書き分けてはいるんですよ。ただ、ありきたりすぎたり、ゲーム・漫画的すぎたりして冷めます。……フォローしてねぇじゃん(ぉぃ 「惜しい!」って点が積み重なりすぎてますが、惜しい作品。 |