真・なんでもレビュー
火星年代記 | ||
出版:ハヤカワ文庫 | 著:レイ・ブラッドベリ(訳:小笠原豊樹) | 定価:640円+税 |
かなり変わったタイプの作品だと思います。 古典SFに属するのだと思いますが、なんとも小説というものの面白さを実感させてくれる作品です。 1999年から2026年までの火星の話なんですが、これが大家の力というかなんというか……組み立て方が巧みです。 詩的な文体で描かれているんですが、火星人の文化や地球からの調査団の話などを取り扱った短編をさらに短い短編で繋いで長編にするという手法がとられています。 まったく前後の関連性が無い、一話完結の短編の連続に見えるのですが、続けて読んで行くとそうでないことに気付くはず。 全ての話が「火星年代記」というタイトルどおりの大きな話の流れに必要なパーツとなっています。 また、短編もそれぞれ全然雰囲気が違っており、飽きが来ずに読めます。 欠点をあげるとすれば、書かれたのが50年以上前のため、多分に差別的表現が使われていること。 え〜、今の小説に読みなれてると引きます。つうか気分の悪くなる所もあるかもしれません。 あとはアメリカ・アメリカしすぎるかなぁという気もしますが、まあ書かれた時代が二次大戦終戦直後だからしょうがないかなぁと、まあ妥協。 この二点を除けばかなりおすすめできます。読み応えもありますよ。 |