真・なんでもレビュー

幕末浪漫特別編
月華の剣士
に咲く散りゆく
メーカー:SNK(倒産、現在はSNKプレイモア) 機種:ネオジオポケットカラー 点数7.1
価格:3990円(税込み)
廉価版:2625円(税込み)
ジャンル:2D格闘ゲーム 発売日:2000年3月16日


 格闘ゲームにおけるストーリー性の重要さを重視して作品を作ってきたSNKの中でも、特にストーリー性に特化した「月華の剣士」を携帯ゲーム機用にアレンジしたもの。
 原作はネオジオソフト「幕末浪漫第二幕 月華の剣士 〜月に咲く華、散りゆく華〜」
 第一幕たる「幕末浪漫 月華の剣士」のストーリーから続いて物語を完結させる第二幕なのだが、携帯版ではこの何故かこの「月に咲く華〜」しか発売されていない。
 筆者は最初「いきなりストーリー完結させてもなぁ…まぁファンは買うけど初めてプレイする人はわけ解らんやろな」と思ってましたが、ところがどっこいさすがはSNK、そんな問題はありませんでした。
 このゲーム、主人公「楓」は第一幕のエンディングで四神・青龍の力を得るので、第二幕では覚醒した状態で戦うはずなんですが、なぜか楓のイラストが覚醒前の状態。あれ? とか思いながらもスタート。
 なんとまあ、どうも演出がおかしいと思いきや第一幕のストーリー演出。最終ボスも第二幕ではプレイヤーキャラになっている嘉神真之介。「ひょっとして『幕末浪漫第二幕』じゃなくて『幕末浪漫特別編』にしてるのは第一幕じゃ売れないからか?」と邪推しながら、再度プレイ。
 なんとまあ、どうも演出がおかしいと思いきや第二幕のストーリー演出。最終ボスも最強の噂が高い黄龍になっているじゃないですか。
 そう、このゲーム、第一幕と第二幕が両方入っているんです。
 ストーリー的な補完どころか両方入れてしまえば2からの発売ということを意識しなくていいんですな。

 さて、そうなれば気になってくるのはキャラクター。
 楓(覚醒前)・御名方守矢・雪・玄武の翁・一条あかり・鷲塚慶一郎・天野漂・李烈火・斬鉄・楓(覚醒後)・真田小次郎・嘉神真之介・高嶺響・刹那・黄龍・はぐれ人形の全16キャラ。
 ちょっと物足りない気もするけど、残っているキャラはしっかりストーリーもあり、技もあり連続技もあります。
 また、システム上重要になってくるのが剣質ゲージ。
 
の四つがしっかりと――漢!?
 まあそれは置いといて、剣質の説明を。
 「
」は通常技にも削りダメージがあり、ガード不能攻撃を持つ。特定の奥義の動作中にコマンド入力することにより超奥義に繋がる「昇華」が存在する。また、体力点滅時に剣質ゲージがMAXならば「潜在奥義」が使用できる。
 「」は技の隙が少なく、豊富な連続技が可能。浮かし攻撃を持つので浮かしてから威力の高い奥義を繋げることが可能。潜在奥義は無いが、剣質ゲージがMAX時に「乱舞奥義」が使用できる。乱舞奥義はボタンをタイミング良く繋げて連続攻撃を繰り出す技だが、3ルート存在し、それぞれ「通常」、「浮かし」、「威力大」がある。特に威力大は見た目も格好良い。また、体力点滅時に乱舞奥義を浮かしルートで決めた後に超奥義に繋げるといったことが可能。
 「
」は力の特性と技の特性を併せ持つエキスパート専用の隠し剣質。「力」の威力で「技」の連続技を決め、連続技から昇華などといった複雑だが威力が高いこともできる。しかし、エキスパート専用だけあって防御力が低い。最終ボスの連続技などをくらっては瞬殺されるくらい低い。他の剣質の半分くらいの防御力だと考えると良い。
 「」はこの携帯版のみの隠し剣質。特性としては、「ガード不能」ですな。といっても、こっちの攻撃がガード不能になるのではなく、防御ができなくなるんです。しかしながら、連続技の一段目を食らってものけぞらずに攻撃が続けられるという、「肉斬骨断」の戦いが可能。というかそれ以外は力と同じです。男なら漢で!
 しかし、この剣質は隠し、それを入手するにはオマケ要素をコンプリートする必要があります。

 オマケ要素。
 この「幕末浪漫特別編」は毎試合ごとに点数がつけられ、それを溜めて巻物を買うというシステムがあります。
 そして、ミニゲームでもその点数は溜められます。ミニゲームは惜しくもプレイヤーキャラに参加できなかった神崎十三が金棒で一条あかりの投げるボールを打ってホームランを狙うというものと、同じく参加できなかった骸が地獄門から必死で逃げるのを助けるものの二種類。どっちもそこそこ楽しめます。というか、燃えます。
 さて、ここで気になるのはオマケ要素の内容でしょう。
 巻物を買うといってもそれが何なのか解らないでしょうから説明しますと、大まかに分けて「プロフィール」、「旅の目的」、「エンディング1」、「新たなる旅の目的」、「月華の剣士」、「死闘」、「エンディング2」、「スペシャル」、「奥義の書」に分かれます。
 「プロフィール」は各キャラクターのプロフィール、「旅の目的」は隠しキャラクターを除く各キャラがなぜ旅をしているのかというもの。「エンディング1」は同じく隠しキャラクターを除く各キャラのエンディングを鑑賞するためのもの。
 「新たなる旅の目的」はデフォルトキャラが「エンディング1」の後になぜまた旅に出たのかというのと、隠しキャラがなぜ旅をするかというもの。「月華の剣士」はキャラ選択画面のイラストを鑑賞するためのもの。
 「死闘」は潜在奥義をした時に出るカットインを鑑賞するためのもの。「エンディング2」は「新たなる旅の目的」の結末を鑑賞するためのもの。「スペシャル」はオリジナルイラストを鑑賞するためのもの。
 最後、この「奥義の書」が一番重要かも知れません。
 奥義の書はゲームシステムさえも変えてしまう要素を持ったオマケです。
 臨・兵・闘・者・戒・陣・列・在・前・賭・得・漢の12種類があり、獲得した奥義の書はストーリーモードをプレイするときに二種類まで装備できます。効果としては「飛び道具の弾きが可能になる」や、「前ジャンプ時にガード可能」、「弾き有効時間延長」や「剣質ゲージを『漢』に変える」というのがあります。そう、先述の隠し剣質「漢」はこれで手に入れるんです。
 巻物は全113種類あり、コンプリートするのは至難。しかし燃える(笑)

 さて、いままで褒めちぎってきましたが、短所が無いとは言いません。
 それはコマンド入力です。
 ちょっとコマンド入力の受け付けが甘いので、「下、右下、右」というコマンドと「右、下、右下」というコマンドが暴発しやすいのがちょっとつらい。
 他の点では特に気になる点は無いです。
 月華の剣士が好きな人は必須。興味はあるという人にもおすすめです。

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