なんでもレビュー

SNK VS. CAPCOM カードファイターズDS
メーカー:SNKプレイモア 機種:ニンテンドーDS 点数2.0
価格:5040円(税込み) ジャンル:カードバトル 発売日:2006年12月14日
公式サイト:http://game.snkplaymore.co.jp/official/cardfighters-ds/


 SNK VS. CAPCOMシリーズ初のニンテンドーDS作品。シリーズ第1段である激突カードファイターズの3作目である。
 結論から言うと、残念ながら
カードファイターズシリーズで一番の駄作となってしまった。

 1作目、激突カードファイターズ(SNKバージョン、CAPCOMバージョン)はRPG風のマップを移動し、様々なキャラと話して会話で情報を集めたり、SNKやCAPCOMのクリエイターとバトルをしたりと、ゲームとしての面白さが目立っており、カードゲームとしての未熟さをカバーしていた。カードゲームも未熟なりに爽快感重視に作られており、テンポ良く進む。
 2作目、激突カードファイターズ2はキャラカードとアクションカードだけだった前作に、相手の攻撃に対して使えるリアクションカードが加わった。RPG風な要素は減退し、通行人のいない街のマップを移動して建物から建物を移動、建物に入ると決められたキャラと会話してバトルという作業的な流れになってしまった。カードゲームとしては面白さが向上しており、必勝パターンのようなものはあるが、ゲームとしても面白い作品だった。
 そして迎えた3作目。
 ハードがニンテンドーDSに移り、性能もハードを所有するユーザーの数も比べものにならないほど向上した。
 SNKプレイモアの家庭用ゲームとしては初めて地上波のTVCMを放送するといった気合いの入りようだった。
 しかし、出来上がった物は、
カードゲームとしてシステムの根元から崩壊している代物だった。
 もはや
これまでのカードファイターズとはまったく別のゲームになっていると覚悟した方がいい。

 まず、システムの大幅な変更。
・属性色の導入
・フォース(コスト)の導入
・HPの導入
・SPの廃止
・援護システムの事実上の廃止(正確には改悪)
・回復の上限の導入
・1ターンに場に出せるカード数の変更
・場に出せるカード上限の変更
・硬直システムの変更
・合体攻撃の仕様変更
・手札枚数の仕様変更

 これらが主なシステム変更点。
 中でも、ゲームの破綻に直結しているのが、「フォースの導入」、「1ターンに場に出せるカード数の変更」、「場に出せるカード上限の変更」、「硬直システムの変更」である。これ以外にもゲーム破綻の原因となっているカードや、純粋なゲームとしての面白さを砕く仕様はまだまだある。

 何がまずかったかを説明するにあたって、これまでのシステムと比較しよう。
 「カードゲーム」として未熟だったが爽快感やファンサービスの点で「ゲーム」として面白かったこれまでと、「カードゲーム」としても「ゲーム」としても崩壊した今作の違いが見えてくる。比較した際に特に大きなポイントだと思った所は赤文字で記してある。
これまで 今作
カードの種類 1:SNKキャラクター(以下SNK及びキャラ)
  CAPCOMキャラクター(以下CAP及びキャラ)
  アクションカード(以下AC)
2:SNK、CAP、ACの各種カードに加えて、
  リアクションカード(以下RE)が新規追加
SNK、CAP、AC、REの4種類
赤・青・黄・緑の属性色が追加
リアクションカードがカウンターカードに改名(COと表記)
カード枚数 1:全300枚(SNK120、CAP120、AC60)
2:全424枚(SNK160、CAP160、AC64、RE40)
全400枚(SNK150、CAP150、AC60、CO40)
敗北条件 プレイヤーのHPが0になった時
山札が0枚の状態で、
自分のターンが回ってきて毎ターンの強制ドローができなかった時
プレイヤーのHPが0になった時
山札が0枚の状態で、
カードを引かなければいけない時
初期手札とドロー 初期手札は5枚だが、先攻は1ターン目のドローがない。 初期手札は6枚だが、先攻は1ターン目のドローがない。
手札の上限 特に無し(17枚までは確認) 自ターン中は制限無し。自ターン終了時に8枚になるように捨てなければならず、この時捨てたカードではフォースは産出されない。
自分の場に出せるキャラ数 3枚 8枚
1ターンに出せるキャラ数 1枚 制限無し
キャラを出すコスト 無し フォース
ACカードとREカードのコスト SP フォース
コストの産出方法 キャラが場に出た時に、キャラ固有のSP数
キャラクターカードの能力
アクションカードの効果
デュエル開始時に白(無色)3フォースを所有
自ターン開始時に毎回白1フォース追加
自ターン開始時にキャラ1体につき、そのキャラと同色の色フォース追加
キャラをフォース産出のために硬直させる事でキャラ固有の「産出フォース」ぶん追加
カードを1枚捨てる事で同じ色を1フォース

キャラクターカードの能力
アクションカードの効果
ACカードのタイミング こちらが攻撃をする前
RE&COカードのタイミング 相手の攻撃時
キャラのパラメーター BP、SP、能力 登場コスト算出フォースHP、BP、能力、能力コスト
キャラ能力「▲(登場時)」 場に出た時、無条件発動 場に出た時、コストを払って発動させるか任意
キャラ能力「■(自ターン)」 自分のターンのみ使用可能。非硬直状態のキャラを硬直させることで発動 自分のターンのみ使用可能。非硬直状態のキャラを硬直させた上でコストを払うことで発動
キャラ能力「●(常在)」 条件を満たしたら常に発動 条件を満たした時にコストが払えたら強制発動
戦闘  BPが生命力と攻撃力を兼ねている。
 BP600のキャラAとBP400のキャラBが戦った場合、600-400でBP200となったキャラAが場に残り、キャラBは捨て札置き場へ送られる。
 HPが生命力、BPが攻撃力。
 HP400/BP300のキャラAとHP300/BP300のキャラBが戦った場合、HP100/BP300のキャラAが場に残り、キャラBは捨て場へ送られる。
合体攻撃  SP5消費で2体合体、SP10消費で3体合体。
 キャラ2体(3体)を選択してBPを合計して攻撃し、相手の防御キャラの
BPを上回っていた場合は、防御キャラをKOした上で余剰ダメージをプレイヤーに与える。防御キャラのBPは、最初に選択したキャラに与えられた後、余剰ダメージは後に選択したキャラに与えられる。
 また、合体攻撃時は●能力が無効化される。
 フォース8消費。
 キャラを2体選択してBPを合計して攻撃し、相手の防御キャラの
HPを上回っていた場合は、防御キャラをKOした上で余剰ダメージをプレイヤーに与える。防御キャラのBPは、最初に選択したキャラのみに与えられ、後に選択したキャラには与えられない。
 また、合体攻撃時は●能力が無効化される。
キャラのパラメーター変動  BP(生命力&攻撃力)は、援護や各種カードの効果で初期値以上に回復(上昇)する。  HP(生命力)は初期値以上には回復しない。
 BP(攻撃力)は各種カードの効果で初期値以上に上昇する。
プレイヤーのHP  0になると敗北。
 HP初期値よりも回復することが可能。
 0になると敗北。
 初期値以上には回復しない。
援護システム ・自分のターンのみ使用可能。

1ターンにつき1回しか使用できない。

・場に出したばかりのキャラ、硬直中のキャラには
使用できない。

・それぞれのキャラクターには1体〜3の
援護可能キャラが決められている。

・援護したキャラを捨て札置き場へ送る事で使用する。

・すでに援護済みの同名キャラで重ねて援護する事は
出来ない。

・援護されたキャラはBPが300上昇する。
 例:ハイデルンにはラルフ、クラーク、レオナで援護可能。ラルフとクラークで援護済みの時に、再びラルフを引いても援護する事はできないが、レオナならばまだ援護していないので援護可能。全ての援護が完了した状態のハイデルンは、元BP600+援護(BP300上昇)×3の900で、単体最強である零豪鬼やギースと同じBP1500になる。
 援護キャラの組み合わせはストーリーでの関係や、キャラの流派・外見・性格などに共通点があるかなどで決められている。
 例1:先ほどの例だとKOFの「怒チーム」繋がり
 例2:ショーンはさくら、テリー、しんごで援護可能。ショーンがケンの弟子で、さくらがリュウの弟子、真吾が京の弟子なので、さくら&しんごとは弟子繋がり。テリーとはバスケ好き繋がり。

 これにより、
「好きなキャラだけど弱い」というカードを援護要員としてデッキに組み込める。
・自分のターンのみ使用可能。

1ターンに何度でも使用可能。

・場に出したばかりのキャラ、硬直中のキャラにも
使用できる。

・援護を受けるキャラと
同じ色ならば、どのキャラでも援護可能。

キャラと同色のフォースを1払って、援護したキャラを捨て場に送ることで使用する。

・すでに援護済みの同名キャラで重ねて援護する事が
出来る。

・援護されたキャラは、援護したキャラのHPぶん
HPが回復する。
 ただし、援護されたキャラが最初に
場に出た時の初期HPまでしか回復しない。
 後述するが、ゲームシステム的にキャラ同士で応戦した場合は、大抵相打ち〜瀕死の状態になる。瀕死状態のキャラを回復させるよりは、数を出さなければ負けるという調整なので、
援護を用いる機会と意味は皆無。
硬直  キャラは準硬直状態で場に出てくるため、攻撃・■能力・援護は実行できない。防御、●能力は実行可能。
 硬直は基本的にターンの始めに解除され、攻撃や■能力を使用することで硬直状態になる。
 キャラは完全な硬直状態で場に出てくるため、攻撃・防御・■能力・●能力・援護は実行できない。
 硬直は基本的にターンの始めに解除され、攻撃や■能力を使用することで硬直状態になる。

 ざっとこんなものだろう。
 これまでの作品と比較すると、今作のスタッフがより
"カードゲームを意識した"ことが見て取れる。本来それは好ましいことなのだが、それが全部裏目に出たのは、今作のスタッフが"カードゲームを理解してない"という一点に尽きる。つまり、既存のカードゲームのシステムをざっと見て、そのシステムがどういう意図を持って構成されているのかを理解しないままに、適当に「このゲームからはコレ、こっちのゲームからはコレ」といったようにつまみ上げて混ぜ合わせてしまったようになっている。もちろんこれは「SNKプレイモアがこのカードゲームのシステムをパクった。この部分はこっちのパクりだ」などという短絡的な批難をしているわけではない。そもそも、現行のトレーディングカードゲーム(TCG)はほぼ全て、「MAGIC:TheGathering(マジック:ザ・ギャザリング)」をベースに独自システムや改良といったオリジナリティを出していると言っても過言ではない。私が残念なのは、逆になぜこのゲームはマジックをしっかりと参考にしなかったのかという事だ。そうすればもっとマシになっただろう。

 では一体何がダメなのか、それについて触れていきたい。――といっても、どこから説明したら良いのか窮するほどにダメな所だらけなのが、SNKファンとしてとても悲しいのだが……。
ダメな所がそれぞれ連動しているので箇条書きもやりにくい。

・キャラのコスト、HP/BP、レアリティのバランスが崩壊している

 一番はこれだろう。
 まずこのゲームを批判する時に良く言われるのが
「レオナ東風ゲー」というものだ。
 両者とも緑の低レアリティのキャラカードだが、東風は「登場コスト:白1、HP400/BP400、能力なし」、レオナは「登場コスト:白1緑1、HP600/BP600、能力なし」というカードだ。何がマズイか、それは
単純にコストが低いくせにBPが高すぎるという事だ。
 
プレイヤーのHPは3000である(対人戦&ボス級戦のみ。ザコ戦はHP2000)。
 
1ターン目には最初から白3フォースが用意されているので、ここで東風を3体並べる事が出来る。そうすると場にBP400が3体。残った3枚の手札にレオナでもいれば、2枚捨てて2フォースを用意して場に出せる。場にいるキャラのBP合計は1700になる。
 これが低レアリティのカードである。では逆に、高レアリティ・高効果のキャラはどうなるのか?
 レアリティAのカード、ネオジオバトルコロシアムのヒロイン「アイ」を見てみよう。
 「登場コスト:白2赤2、HP100/BP400、能力コスト:白3赤3、能力:(場に出た時に)自分場にいる自分以外のキャラをKOし、KOしたキャラの数×3の赤フォースを得る」
 さて、ダブルシンボル(赤が2つ)の4コストなのにも関わらず、HP100という最低値に、BPも1コストの東風と同じ400。能力も正直使えない。これが入手困難なレアリティAである。
 こんな物を出すなら、レオナや東風を出した方が早いし強い。ということで、「レオナ東風ゲー」になるわけだ。
 無論、このアイは赤のカードでレオナや東風は緑のカード。色が違うから同じデッキに入らないかというと、そうでもない。
 東風の白1というコストは何色のフォースでも支払い可能なのだ。
白1とは他のカードゲームでいう所の無色1である。そして、有色フォースは同色のカードを捨てる事で1つ加算される。ということで、続いての項目へ移行しよう。

・フォースと色のシステムが崩壊している

 また崩壊である。今度はバランスではなくシステム。
 
フォースはの有色フォースと、を名乗る無色フォースの5種類。
 そして、フォースの産出方法は基本的に
「自分の意思でカードを捨てる事で、そのカードと同色の1フォース加算」、「キャラにフォース産出行動を取らせる事によって、キャラ固有の産出フォース分加算」、「自分のターン開始時に、自分の場に出ているキャラカード1体につき、そのキャラ色のフォース+白1フォースを加算」、この3種である。
 この他に、デュエル開始時に最初から白3フォースを持っている他、キャラやカードの能力によって加算される。
 キャラクターにフォース産出行動を取らせてフォースを出すのは良い。強いていうならば産出フォース数に難ありだが、それはシステム崩壊にまで繋がらない。
 問題は「カードを捨てれば同色のフォースを1加算」と「ターン開始時に自キャラ数+白1」だ。
 まず前者はこういうカードがある。
・「パーツショップ(白3、Cランク):カードを3枚引く」
・「前代未聞のハイエナ祭りっ!(白6、Bランク):カードを6枚引く」

 これらは一般にドロースペルと呼ばれるカードだが、「コスト=引ける数」になってしまっている。
普通のカードゲームならば「コスト>引ける数」なのだが、なぜか同数。しかもまずいことにこのゲームではカードを捨てれば同じ色と数のフォースに変わる。
 つまり、手札に先ほどの「アイ(白2赤2)」があるとして、自分の持っているフォースが白3・緑2・青3だった場合、白3+緑2+青1の6フォースを使って「(略)ハイエナ祭り」を使えば、手札が6枚増える。この引いた6枚に赤のカードが2枚あれば、それらを捨てて赤2を加算させ、先ほど残っていた青2と足して青2赤2でアイを場に出せることになる。
 更に引いたカードに赤が無かった、気に入ったカードが無かったという場合、もう1枚ハイエナかパーツショップがあれば、適当に今引いたいらないカードを捨ててハイエナやパーツショップのためのコストを確保すれば良い。
私の経験では、ハイエナを4枚投入しているとかなりの確率でハイエナ使用後にハイエナが来る。なんせデッキ枚数が50枚で、初期手札が6枚だから残り44枚。1ターン目にハイエナを使っても、34枚から6枚引いたうちに残るハイエナ3枚のうちのどれかを引けばそのまま使える。これが2ターン目以降だとどんどん確率は跳ね上がる。ハイエナ4枚だけでデッキ34枚中24枚を引けるのだ。パーツショップと組み合わせれば、1ターン目に確実に欲しいカードが手に入れる事さえ可能だ。なんせそれが来るまで引けばいい。普通のカードゲームならばフォースが足りないが、このゲームでは引いた要らないカードを捨てればノーコストも同然。
 若干、フォースシステムの崩壊と"壊れたカード"の問題が混同されているように聞こえるだろう。これが最初に悩んだ「ダメな所がそれぞれ連動しているので箇条書きもやりにくい」を如実に表している。
 カードを捨てればフォースが入るというシステムの危なさは、「重いコストのカードを簡単に使用出来る」ことである。もっとも、重いカードに使うのではなく、大抵はカードを捨てて引いてデッキを回転させて欲しいカードを出すという使い方や、軽いカードを大量に使った後のダメ押しで通常コストのカードを出すという使われ方をするのだが。
 カードを引く効果がコスト=引ける数であり、なおかつ捨てればフォースが入るという危険な状態であるにもかかわらず、一度溜めたフォースは使わない限り何ターンでも溜めっぱなしにできるという点が傷口を更に広げている。

 元々TCGを嗜む人ならば、この2枚のドローカードで気づいた方も多いだろう。いや、もっと前、レオナと東風のコストを見ただけで気づいた人もいるだろう。何がマズイか、コストと色だ。
 このパーツショップやハイエナのコストは全て白フォースしか書いていない。
白というコストは実質無色、どの有色フォースでも支払える。そして有色カードであっても、支払いは無色というカードが大量にある。これはマズイ。何のために色という概念を入れたのかを制作者が理解していない。
 本当にマズイのだ。
 通常、色の概念を用いるカードゲームにはMTGから脈々と受け継がれる鉄則、「色による得意分野」というものが存在する。このゲームにもそれを取り入れようとした痕跡は見える。無駄だが。
 一応MTGも例に挙げてCFDSの色の特徴も説明しよう。ただしMTGは複雑な上に、近年は色の役割を変更させて行っているので初期からの10年間で使われた役割を簡単に紹介する。
・MAGIC:TheGatheringにおける色の役割 ・カードファイターズDSにおける色の役割
青クリーチャー(キャラ)
 基本的に弱いが、特殊な能力を持つ。飛行クリーチャーも多い(飛行を持たない者ではブロック出来ない)
青キャラ
 HP/BPは微妙だが、一部白フォースのみで高いHP/BPのキャラがいる。相手のフォースを操作する能力が少々と、応戦時に何かするという能力が多い
青カード
 カードを引く、呪文の打ち消し、場のカードを持ち主の手札や山札に戻す、山札の破壊
青カード
 相手キャラを選んでダメージ、全キャラへのダメージ
赤クリーチャー
 速攻(場に出てすぐ攻撃可能)を持つ者、高コストで強力だが死にやすい者が多い
赤キャラ
 一部BPが高い傾向、極端にHP/BPが高いキャラも稀に。BP上昇や、キャラへのダメージやKO、相手KO時に発動という能力が多い
赤カード
 相手やクリーチャーへの直接ダメージ、土地(フォースを出すオブジェクト)の破壊、アーティファクト(無色のオブジェクト)の破壊
赤カード
 BP操作、相手キャラランダムへのダメージ、キャラの破壊(KO)
緑クリーチャー
 低コストで弱いがマナ(フォース)を生み出す者、高コストで能力は持たないが強力な者の二極化
緑キャラ
 低コストに高いHP/BPのキャラ、高コストに低いHP/BPのキャラという傾向。手札破壊、山札破壊、カードを引くという能力が多い
緑カード
 ライフ回復、マナや土地の加速、アーティファクトとエンチャントの破壊
緑カード
 カードを引く、手札操作、墓地利用、フォース加速
白クリーチャー
 低コストで特殊な能力は持たないが防御面が優秀
黄キャラ
 HPが高い傾向で、高コストなキャラはBPも高い。フォース加速、BP操作、HP回復という能力が多い
白カード
 ライフ回復、エンチャント(場に出して効果を発揮し続けるカード)の破壊
黄カード
 HP回復、フォース加速
黒クリーチャー
 低コストで強いが(または高コストで超強力だが)自分にも致命的な犠牲を強いる
黒カード
 低コストで強いが(または高コストで超強力だが)自分にも致命的な犠牲を強いる呪文、墓地利用、クリーチャーの破壊、手札の破壊
 簡単にまとめるとMTGは、白:尖った強さは無いが堅実、青:場のコントロールとカードのドロー、赤:防御を捨てて破壊を取る、黒:自分で肉を切って相手の骨を断つ&手札の破壊と墓地利用、緑:始めチョロチョロ中パッパ調子が出たら制圧完了。まあこんな具合だ。簡単というか適当だが、MTGをやっている人ならば「まったく納得できん!」という事はないだろう。
 しかし、カードファイターズではこういった具合にまとめるのが難しい。なぜなら、
色の持つ特色が曖昧な上に、他の色の特色である効果が別の色にも混ざっているからである。
 緑にも黄色にもフォース加速が混ざっているし、BP操作は赤と黄色に共通、キャラへのダメージは青と赤で共通。上の役割には書いていないものでは、「全キャラの硬直解除」という効果のカウンターカードが青、黄、赤に存在する。その内、赤と青は同じCランクのレアリティでコストも白5とまったく同じ、黄色にしてもDランクでコストが白6と大差はない。
 そしてこれらのカードが全て白フォースしか要求されていないこと、先ほどのパーツショップとハイエナ祭りも白フォースしか要求されていないこと、東風のような強力なカードも白フォースしか要求されていないこと……最早言わなくても解るだろう、
有色フォースを必要とするカードがあまりにも少ない。
 キャラクターカード300枚のうち、241枚が有色フォースを必要とするが、それでも20%近くが白フォースだけで出る。これは異常な数だ。
 だがしかし、まだまだ序の口である。
 アクションカード60枚中、有色フォースが必要なのは12枚。カウンターカード40枚中、有色フォースが必要なのは8枚。つまり、
アクション&カウンターカードは80%が白(無色)フォースだけで使える。全カードに直しても400枚中139枚が白フォースだけで出るのだ。実に35%である。
 MTGを例に出すのが多くて申し訳ないがTCGの元祖ということで、「なぜその色にその能力を与え、別の能力を与えなかったのか」という点は参考になるのでしばし付き合っていただきたい。
 この比較表を見るとCFDSの色が妙に片寄っていると気付かないだろうか。緑がMTGで言うところの「黒の低コストで強いキャラからデメリットを取り去り(もしくは緑の強力なキャラから召喚コストを大バーゲンで7割引にし)、黒の手札破壊、青の山札破壊、青のカードを引く能力、青の手札操作、緑のフォース加速、黒と緑の墓地利用」を兼ね備えているのだ。優秀な能力を緑に随分と寄せ集めてしまっている。
 黄色もMTGで言うところの白の回復力と緑のフォース加速を持っているが、CFDSの回復は初期値以上にはならないためあまり意味はない。優秀なのはフォースの加速ばかりで、そしてそれは他の色と組み合わせるとその色の展開が早くなるという優秀なサポート要員となる。
 MTGでは赤の能力だった相手やキャラへの直接ダメージは青と赤に、自分のキャラにデメリットを与えつつ敵キャラ全部や全キャラにダメージを与えるという赤や黒の能力は青に、黒のキャラ破壊は赤に、攻撃面に尖った防御力の低いキャラは赤にといった具合に、こちらは緑とは逆で赤の特色が分散してしまっている。しかも尖った上で実用不可能なレベルまでコストが上昇しているのだが、それは次項に回す。

 この項目の最後として、「ターン開始時に自キャラの数+白1加算」の問題点。今、「まだあるのか」という思った人は少なくないだろう。
 だがこれは簡単である。
「場に出したキャラが多い方がたくさん貰える」、この1点だ。
 初期手札が6枚。初期フォースが白3。まずこれを念頭に置いて貰おう。

・例1「重いカードを使う」
 プレイヤーAが先手を取りました。Aは1ターン目に
「ギース・ハワード(白4青3、Sランク):HP600/BP1000、能力省略」を出そうと思いました。
 初期フォースの白3に加えて、青のカード3枚と黄のカードを1枚捨てて、ギースを1ターン目に出しました。残り手札は1枚、フォースは0、このターンは何も出来ないので終了しました。
 2ターン目。開始時にギース(青)が1体いるので青1+白1のフォースを加えてカードを1枚引きました。
 Aの状態:キャラ数1、攻撃可能なキャラの合計BP1000、フォース青1白1、手札2枚

・例2「軽いカードを使う」
 プレイヤーBが先手を取りました。Bは「レオナ(白1緑1、Cランク:HP600/BP600」「東風(白1、Cランク):HP400/BP400、能力なし」を出そうと思いました。
 初期フォースの白3で東風を3体、緑のカードと赤のカードを1枚ずつ捨てて緑1赤1を加え、それでレオナを出しました。手札もフォースも0なので、このターンは終了しました。
 2ターン目。開始時に東風(緑)が3体とレオナ(緑)がいるので、緑4+白1のフォースを加えてカードを1枚引きました。
 Bの状態:キャラ数4、攻撃可能なキャラの合計BP1800、フォース緑4白1、手札1枚

 あら不思議。頑張って重いレアカードを使ったプレイヤーAよりも、軽いコモン(低レアリティ)カードを使ったプレイヤーBの方が2ターン目のフォースが3倍近くある。
 そしてまた、「ダメな所が連動している」好例になっているが、Sランクのギースを出したプレイヤーAは先攻でも後攻でも十中八九敗北する。それは何故かというのを次の項目で。
 その前にレオナ東風ゲーをMTGに照らし合わせるといかに異常かが解りやすいので書いておく。ゲーム開始時にマナプールに無色3が加えられており、手札を捨てるとその手札の色のマナが出る。HPは30、レオナは緑1無色1の6/6で東風は無色1の4/4のコモンクリーチャー。デッキ上限は40枚で同カードは4枚まで、初期手札は6枚。火力呪文は3マナ+手札2枚捨てでクリーチャー1体に5点与えるソーサリーや、6マナで全クリーチャーに5点のソーサリー、2マナで1体に3点のソーサリーなどで、直接破壊は5マナソーサリーや、トリプルシンボル5マナの全クリーチャー破壊のみ。プレイヤーへの直接火力となると8マナ3点のソーサリーなので、レオナ東風にやられる前に本体を焼くのは無謀。レオナを一撃で焼こうと思うとクインティプルシンボルの……青5無色2の7マナインスタント(と言っても相手攻撃時のみ)で6点のみ。そんな状態で、クリーチャーは全てタップイン。ソーサリーには4マナ+ライフ2点支払いで+6/+0やら、2マナでサイコロの出目分攻撃力増加やら、1マナ+ライフ1点支払いで+3/+0があるため、相手がそれを使えば……。

・硬直とキャラ能力のシステムの崩壊

 やっぱり崩壊。
 カードファイターズではMAGIC:TheGathering(及びTCG全般で使われることの多い)用語の"タップ"と"召喚酔い"にあたる状態を"硬直"と呼ぶ。
 キャラ能力は▲(場に出た時)、■(任意)、●(常在型)の3種類がある。
 硬直時は「攻撃、防御、フォース産出行動、■能力の使用、●能力の使用、援護を受けることは出来ない」というのが今作のルールだ。そして
キャラは硬直した状態で場に出る。
 ここで、旧作をプレイしていたりTCGを嗜む人ならば「あれ?」と気付くだろう。旧作までは準硬直状態で場に出ていたため、防御や●能力の使用は認められていた。MTG用語で言うとタップイン、つまり
全てのキャラクターが「タップ状態で場に出る」を意味している。更におかしいのは常在型能力である●能力が硬直状態だと発揮されないという事だ。説明書にも「場に出ている限りは、ずっと効果が続く」と書かれているにもかかわらず、●能力は「硬直時と合体攻撃時のみ常在型ではなくなる」のだ。
 このルールの問題点は既に勘のいい人ならば気付いているだろう。
「キャラは硬直した状態で場に出る」+「硬直中は攻撃も防御も能力の使用も出来ない」=先にキャラクターを出せばその攻撃はほぼ確実にプレイヤーに通るということだ。
 キャラ能力の崩壊については、先ほどの旧作との比較表でもちらっと触れているが「能力の使用にはコストが必要」という点が最大の理由だ。無論能力をノーコストで使わせろと言っているのではない。
能力の内容とコストが全く見合っていないだけなのだ。これには「レアリティーも」という一言を追加したい。そして必ずしも能力にコストは必要なのか? とも問いたい。
 ▲能力を持つカード94枚中、ノーコストで発動できるのは0枚。(SNK44枚、CAPCOM50枚)
 ■能力を持つカード92枚中、ノーコストで発動できるのは0枚。(SNK46枚、CAPCOM46枚)
 ●能力を持つカード54枚中、ノーコストで発動できるのは13枚。(SNK27枚、CAPCOM27枚)
 能力を持たないカードが60枚。(SNK33枚、CAPCOM27枚)。合計でキャラカード全300枚となる。
 能力を持たない物を省いて240枚中、ノーコストは13枚。それも常在型能力であり、「攻撃に参加したらターン終了時にこのキャラをKOする」といった能力がノーコストに該当する。13枚中、自分にとってのデメリットである●能力というのが4枚なので、実質的なノーコストで能力が発動できるカードは240枚中9枚と言っても良いだろう。
 コストを払わなければいけないのは仕方ないと我慢したとして、ではそのコストの費用対効果はどうなっているのだろうか。
 240枚もあるのだから単純に良い悪いと断じるのは難しいが、しかし一言で言い表す事は可能だ。一言、「バランスが悪い」と。
 
青のカード「マルコ・ロッシ(白1青2、Bランク:HP300/BP400)」の●能力「エナジー・ミッション」は「青8:このキャラが応戦した場合、このバトルの終わりに対戦相手に600のダメージ」という能力だ。
 さて、思い出して欲しい。青8を出すにはどうすればいいだろうか?
 1つ、青のカードを8枚捨てる。1つ、青のキャラクターを複数体出してターン開始時の加算フォースを溜める。1つ、フォース産出行動で青が出せるキャラを使う。1つ、フォースを加算する能力を持つアクションカードを使う。
 どれも青8が溜まるまでは時間が掛かる。産出行動で溜めるか、青キャラクターを場に複数展開してターンを待つのが現実的だが、それでも実用的ではない。
産出フォース数はキャラによって違うが、大体のキャラは1つ。良くて2つ。最大でも3つである。青3つを出せるのはSNKでは緋雨閑丸、CAPCOMでは綾里千尋のみ。8つ溜めるのは至難の業で、溜まった結果は「このキャラ防御したら相手に600与えるよ」という能力である。8フォースあれば、先ほどからバランスがおかしい例に挙げているレオナが4体呼べる。1体通れば600だ。この青8フォースを溜めてようやく防御時にレオナと同威力のダメージを与えるという●能力、あなたは使いたいと思うだろうか? 同じ青にはこの他に、▲能力で白5青5の10フォースを消費して対戦相手に500という能力などがある。
 レアリティが低いから費用対効果が悪いのではないかと思う人もいるだろう。今挙げた青の2枚は両方ともランクB。このゲームはS・A・B・C・Dのレアリティがあり、通常のTCGで言うとアンコモンにあたる。Sランクは1周目ではほぼ手に入らず、Aランクも入手困難というかやはり1周目では数枚手に入れば良いところなので、Bランクは比較的高いランクであると言えよう。
 それでもやはりレアリティが低いから(略)と思う人はいるだろう。なのでSランクのカードを例に出してみよう。

「アッシュ・クリムゾン(白3緑2、Sランク、HP500/BP300)」
 ▲能力「ジェルミナール」全フォース:フォースを全て消費する。このキャラ以外の全てのキャラのBPが100になる。
「アルバ・メイラ(白1赤1、Sランク、HP500/BP400)」
 ●能力「キング」無し:このキャラが対戦相手のキャラをKOするたび、対戦相手に100のダメージ。
「草薙京(白3黄3、Sランク、HP500/BP1000)」
 ■能力「決着をつけようぜ」白1黄1:場にいるHP300以上のキャラ1体につき1枚のカードを引く。
「ベガ(白2緑4、Sランク、HP1200/BP800)」
 ▲能力「サイコフィールド」白2緑3:場に出ているすべてのキャラは特殊能力を失う。
「真・豪鬼(白2青2、Sランク、HP300/BP400」
 ●能力「殺意の波動」青2:このキャラで応戦した際、バトル開始前にサイコロの目×100ぶんBPが上がる。
「成歩堂龍一(白1赤1、Sランク、HP100/BP200)」
 ■能力「異議あり!」白2赤6:対戦相手にサイコロの目×1のダメージを与える。

 これが2周してもそうそうお目にかかれないSランクカードの数々だ! ということで、SNKとカプコンからそれぞれ▲●■の能力を挙げてみた。
 KOFアッシュ編主人公の
アッシュはダブルシンボルの5フォースで500/300と数値は芳しくない。能力のコストが全フォースというのは凄まじいように見えて大したことはない。これを使う場合は自分のキャラも含めて他の全キャラがBP100になるため、こちらが劣勢の時にのみ使用する事になるからだ。0では発動しないが1以上あればそれを消費して発動可能。能力を発動させないのならば駄カード、能力を発動させるのならば合計6フォースと考えて優秀なカード。
 KOFMI主人公の
アルバは2フォースで500/400とまあ優秀。産出フォースも2で、●能力は発動コスト無しとまあ優秀。中盤以降は活躍しづらいが、序盤に出せると優秀。
 KOFオロチ編主人公の
は、なぜか黄色に所属。お前こそ赤がイメージだろうと突っ込みたい。6フォースで500/1000と攻撃的だがちと重い。HPも500はギリギリ2バトル可能ラインなので、2ターンは残るが600は欲しかった。■能力は白1黄1でHP300以上のキャラ1体につき1枚ドローと、まったく京とは関係ない能力。しかもBP1000が完全に死んでいるという、凄まじいちぐはぐぶり。
 ストIIラスボスの
ベガは6フォースで1200/800とまあまあ優秀。▲能力はなぜかベガの代名詞サイコクラッシャーではなく、よく解らないサイコフィールド。一見優秀な能力に思えるが、▲なので登場コストと合わせて白4緑7の11フォースが必要。そこまでしても、相手の場には能力持ちが1、2体かもしくは能力を持たない低コストキャラが大量にいるぐらいなので、相手の能力が余程じゃない限りは使う機会が少ない。
 ストZERO2の隠しボスにしてカプコン最凶ボス
真・豪鬼はなんと4フォース300/400の雑魚キャラクター。豪鬼の初登場はスパ2Xの最終ステージで先ほどのベガを1撃で倒して乱入してくるというものだったのに、その豪鬼の全力である真・豪鬼がベガの半分以下の能力とはこれいかに。●能力は青2で最大BP600を加算と考えると優秀なのだが、問題が2つ。キャラとも能力名とも合っていない「応戦時」であることと、HP300であること。BPが200以下のキャラは300枚中35枚、私が使うと考えてデッキに入ってなおかつBP200以下のままで攻撃に参加させる可能性のあるカードは5枚のみ。つまりは真・豪鬼の能力は相打ち専用。一撃必殺の威力まで強くしたくても、相手に弱いカードで攻撃して貰わなければならず、相手も真豪鬼がいるのにわざわざBP200以下のカードで攻撃をするはずがないという、まさしく相打ち専用。でも強化はサイコロなので下手すれば+100のBP500で相打ちにさえならないという可能性も高い。
 最後、逆転裁判主人公の
ナルホド君。2フォースで100/200とコストパフォーマンスは最悪。白1で400/400の東風は緑のカードだからと言い訳しようにも、赤には白1で300/400のタン・フー・ルーがいる。唯一の救いは産出フォースが2であることだが、同じコストで同じ産出フォースのアルバが500/400、同じコストで産出が3のタムタムが200/200と、ナルホドを使う理由が見当たらない。■能力は8フォース、それも赤6という凄まじい重さのコストを支払って100〜600のダメージ。素直に別のキャラで攻撃する事をお薦めする。

 と、こんな感じである。
 では逆に最低ランクのDランクカードはどうか。
「ユリアン(白1赤1、Dランク、H300/BP400)」
 ▲能力「アフターユリアン元年!!」赤1:自分の場に他のキャラがいない場合、このキャラのBPが2倍になる。
「マルコ・ロドリゲス(白1赤1、Dランク、HP300/BP400)」
 ●能力「極限ファイターッ!!」無し:自分の手札が1枚もない場合、このキャラは応戦されない。
「リンリン(白1、Dランク、HP200/BP200)」
 ■能力「いくよレイレイ!」緑1:自分のキャラ1体を選んでKOし、カードを1枚引く。

 ユリアンは他にキャラがいない時に出せば白1赤2の3フォースで300/800になるという強力なカード。1ターン目に赤を2枚捨ててコイツを出して、残る白2で先述のタンを2枚出せば合計BP1600である。
 マルコは手札を常に使い切れば防御されないという鬼能力。適当にカードを捨ててフォースに変えればいいだけだし、単純にキャラを展開してもいいので、システムを味方に付けた凄まじい強さ。
 リンリンはようやくDランクらしいかと思いきや、邪魔になった味方をカードに変えるという能力なので、ナルホドや真豪鬼より圧倒的に使い道がある。
 レアリティが高いからと言って費用対効果が良いわけではないのが解って貰えただろうか。
 そして各能力の使いにくさが解って貰えただろうか。
 
コストが重すぎて、1度使えるかどうかという能力ばかり。使ったところで、使えるまでに掛かった時間とコストに見合う効果が得られない。単純に軽いカードを展開した方が強い。低レアリティ低コストの能力の方がなぜか強くて使いやすい。以上の点から能力のシステムは崩壊していると感じた。

 ここで先ほどの項目で挙げた、「Sランクのギースを出したプレイヤーAは先攻でも後攻でも十中八九敗北する」理由を書こう。
・例1「Aが先攻の場合」
 先攻1ターン目:Aがギース(HP600/BP1000)を硬直状態で出す。何も行動できないので終了。
 後攻1ターン目:Bが東風3体とレオナを硬直状態で出す。何も行動出来ないので終了。
 先攻2ターン目:Aがギースで攻撃。相手は硬直状態で防御出来ないのでBに1000のダメージ。
B残りHP2000
 後攻2ターン目:Bが東風3体とレオナで攻撃。合計BP1800がAに通り、
A残りHP1200

・例2「Aが後攻の場合」
 先攻1ターン目:Bが東風3体とレオナを硬直状態で出す。何も行動出来ないので終了。
 後攻1ターン目:Aがギース(HP600/BP1000)を硬直状態で出す。何も行動できないので終了。
 先攻2ターン目:Bが東風3体とレオナで攻撃。合計BP1800がAに通り、
A残りHP1200

 お解りだろうか? レオナ1体と東風3体に対してこちらが1体である限り、HP1200は致死ラインなのだ。
 例1の場合は2ターン目に攻撃せず待てば致死ラインを迎えずに済むため、先攻2ターンは座して待つ。後攻2ターンの攻撃でレオナ(BP600)をギース(HP600)で防御するとギースが死ぬので、東風(BP400)を1体防御して2体を通し、600+400+400の1400を喰らい、次ターンのドローとギース生存分のフォース加算で起死回生に賭けるというのがベターな選択である。ちなみにギースの●能力は青3消費で、応戦(敵の攻撃を防御)時の戦闘開始前に攻撃キャラクターに500ダメージを与えるというものなので、青さえあればノーダメージで東風を防ぐ事も可能だ。
 例2の場合はギースを出した時点で詰んでいるので、実は前提からして崩れているのだが――相手がレオナ、東風x3を展開した時点でこちらに出来る対抗策は(青に拘るならば)アクションカードやリアクションカードで敵陣を一掃するぐらいしかない。その場合でもこちらの手札はほぼ尽きる。ギースを出した上でどうにかしようと思うと、相手キャラを1体硬直させるカウンターカードなどで凌ぎながら起死回生を待つしかない。
 「十中八九敗北する」残りの1か2はその起死回生が来た上で、相手の引きが悪い場合である。
 最初に挙げた項目「キャラのコスト、HP/BP、レアリティのバランスが崩壊している」と同義に思えるが、最初に書いた「ダメな所がそれぞれ連動している」とこの項目「硬直とキャラ能力システムの崩壊」を思い出して欲しい。
 旧作の「場に出した時は準硬直状態なので、防御と●能力は使用可能」が生きていれば、どうなるだろうか?
 例2でも先攻2ターン目に1800も喰らわずにすむだろう。このギースの例は極端だが、小型〜中型のキャラを2、3体展開するだけで相手への抑止力として機能するのだ。
 レオナ東風VSレオナ東風となった場合、先攻を取った方が
 では「能力とコストが見合っていない」のを修正出来ていたらどうなっただろうか?
 ギースの能力(当て身投げではなく「悪夢…」という能力なのだが)が1や2ならばBP1000のキャラでも防御に回しても良いかという選択肢が生まれ、また積極的に能力を生かした防御力でプレッシャーをかけることが出来ただろう。

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