アラニアの世界観
 TheAraniaStoryの舞台となるのは、タイトルそのまま、異世界「アラニア」です。
 アラニアは多層世界であり、惑星型の世界ではありません。と書くとサッパリ解らないですね(ぉぃ
 我々の住む地球は、読んで字のごとく球体です。しかし、アラニアの世界は違います。平らな地面があり、その上に人間が暮らし、海の水は世界の果てから流れ落ちていく。そんな、昔の人が空想したような世界、それがアラニアです。

 アラニアは、存在した時からアラニアという名を与えられていたわけではありません。少し長くなりますが、そのことについて順を追って語っていきましょう。
 そもそもの創世は定かではありませんが、定説となっているのは《始まりの鳥》が全てを生んだという創世の伝説です。
 《始まりの鳥》は数々の卵を産みましたが、最初に卵から生まれたのは《竜》であり、その次の卵からは《天》と《石》が生まれたとされています。《天》とは神の事であると言われていますが、《翼無き天》と例えられるようにその神は空を飛べませんでした。しかし神と双子である《石》は、浮遊する巨大な岩だったと伝えられています。よって、神は巨大な岩の上で生活をしていたようです。
 幾千年経ったのか、それとも幾万年経ったのかは解りませんが、その後、神々や妖精、精霊、竜や動物などは増えていきました。
 さらに時が過ぎ、神々でさえも《始まりの鳥》の存在を空想だと否定するようになった頃、神々は争いを始めます。争いに勝った神々は、自分たちが住む《石》の遥かに下、底なしの奈落に大地を作ります。その大地は精霊が宿らず、動物も植物も生きては行けない不毛の大地でした。争いに勝った神々は、争いに負けた神々を、その大地へと突き落としました。
 《落神界》と呼ばれるその大地に落ちてなお、力を失わなかった強力な神々は、度々、勝った神々が住む石――今は《天界》と呼ばれる空へと戻ってこようとします。その都度、激しい争いが起こります。
 疲弊してきた天界に、一柱の神が現れます。
 神々はそれぞれ性質を持っています。火の神や農耕の神、学問の神に、出産の神など、様々な神がいる中で、その一柱は特異な性質を持っていました。《絶対の神》。名は、定かではありません。イクスソディアや、エグソディア、イクソダスなど、様々な名で呼ばれ伝えられていますが、《絶対の神》がいた事だけは確かです。
 《絶対の神》は神々の王、主神となり、その凄まじき力を使って、今までの神がなしえなかった事をしました。
 それは《落神界》と《天界》の間に、巨大な大地を浮かそうという計画でした。《絶対の神》は力を行使し、見事、その大地を作ってのけます。《絶対の神》は、不毛な大地の上に不毛な大地を作ることをよしとせずに、自分たちの住む《天界》と《落神界》の間に存在するのだから、間を取ったような大地にしようと思いつきます。《絶対の神》はその大地に、精霊や動物、植物や妖精などを移動させ、細やかな管理が出来るように、自分たちの姿を模した生き物を作りました。それが人間の祖先だと伝えられています。
 大地は美しく成長し、《天界》の神々は、その大地を我が庭のように愛で、しまいにはその大地で暮らす神々も現れました。いつの間にか、その大地は「アラニア」と呼ばれるようになります。
 アラニア、それは神々の言葉で「神々が創りし庭園」という意味でした。こうして、アラニアという名の世界が誕生しました。

 アラニアには五つの大陸があります。東西南北と中央の五つです。そのうち、中央大陸アラニスだけは、神が名をつけた大陸だとされています。意味は「神が座す庭」だというのが有力な説です。
 さて、ここで最初に説明した「平面」という点を説明しましょう。
 アラニアはそもそも《落神界》の蓋として作られた、平面の板のようなものです。
 大地があり、海があるように、世界の果てがあります。
 世界の果てからは《落神界》へ海水が流れ落ちるとされており、その果てへ行って帰ってきた人間はいないとされています。
 つまりは、東の大陸から西の大陸へ行こうと思えば、我々の世界のように、更に東に進めばいいのではなく、文字通り西へ向かわなければなりません。
 我々日本人が使う地図では、日本は地図の中心近くにあります(ユーラシア大陸が中央に来てる地図ですね)。しかし、欧米で使う地図だと、日本は東の果て、極東にあります。これは地球が「球」だからこそこういう事になるわけです。アラニアの地図では、東の国は確実に東にあり、中央の国は確実に中央にあります。
 なので、西の大陸と東の大陸では殆ど交流がないですし、北の大陸と南の大陸でも殆ど交流がありません。そうなると、自動的に中央大陸であるアラニスには様々な文化や人種が集まってきます。こういった位置関係だからこそ、各大陸は、それぞれに違った文化を持ち、違った進化をとげ、異なる文化と交わることが極端に少なくなります。アラニア作中での中心となる時代は輝暦2900年代ですが、そこまで時代を重ねても文明が発展しない理由の一つが、この大陸の位置関係にあります。

 アラニアの人々は、神々を畏怖しているかというと必ずしもそうではありません。その傾向は特に東の大陸ウェイティルに顕著で、皇帝を神と崇めるフィブ神聖帝国や、竜を神と崇めるドラグナイツ帝国などの大国があるせいか、神々を崇める者は殆どいません。
 まあ、ドラグナイツ人の言い分からすれば、《始まりの鳥》が生んだのはまず《竜》であり、神はその次に過ぎないという事になってしまうのですが……。
 その他の大陸の人々は、それぞれに宗教を持っていたり、共通の神を信仰したりと様々です。一神教も存在しますが、彼らの理論は万人に受け入れられるものではないので、我々の世界のように世界のほぼ全ての人間がひとつの神を信仰するという事はありません。

 なお、海が常に落神界へ流れ落ちているにも関わらず海水が無くならないのは、《始まりの鳥》が生んだ《黒魚》がアラニアの海のどこかで今も水を生み出し続けているからだとされています。
 この他にも《始まりの鳥》が直接生んだ《風猫》や《土獅子》などが今でも生き続けて、風や土を生み出し続けていると信じる人は少なくありません。真相を知っているのは恐らく今は天界から姿を消した《絶対神》ぐらいではないでしょうか?